腋窩多汗症とは
コラム
腋窩多汗症
重症と診断されればボトックス注射の保険診療適応です。
多汗症とは、体温調節の役割を担うエクリン汗腺の機能亢進により、全身性あるいは局所性に必要量以上の発汗を生じる疾患です。多汗症は原因により、大きく2種類に分類されます。
- 原発性多汗症:明らかな器質的原因のないもの
- 続発性多汗症:他の疾患や使用薬剤の影響で発症するもの(二次性多汗症)
腋窩多汗症は局所多汗症の中でも頻度が高く、米国や日本の疫学調査では多汗症全体のおよそ半数を占めるとされています。
精神性発汗を主とする手掌や足底と異なり、腋窩の発汗は情動刺激と温熱のいずれにも影響される点が特徴です。
患者の多くは左右対称性に症状を呈します。
腋窩多汗症は、患者の日常生活に支障を及ぼし、QOLを著しく低下させうることが知られています。

- 汗の目立つ服が着られない
- 一日に何度もシャツを着替える
- 公共の場で人目が気になる
- 対人関係において気後れする
- 学業や仕事に集中できない など
診断
腋窩多汗症の診断には、国際的なワーキンググループによって策定された原発性局所多汗症の診断基準が用いられます。
原因不明の過剰な局所性発汗が6ヵ月以上持続していることに加え、以下の6項目中2項目以上に当てはまること。
- 両側性かつ左右対称性に多汗がみられる
- 多汗によって日常生活に支障が生じている
- 週1回以上の頻度で多汗エピソードがみられる
- 25歳未満で発症した
- 家族歴がある
- 睡眠時は局所性の発汗がみられない
重症度の判定では、患者の自覚症状から簡便に評価を行える“Hyperhidrosis Disease Severity Scale”も使用されます。
Hyperhidrosis Disease Severity Scale(HDSS)
- 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
3および4は重症多汗症と判定される。
治療
腋下にボトックス(A型ボツリヌス毒素製剤)の皮内注射を行います。
この時、疼痛が強い場合は局所麻酔薬を腋下の表面に塗り、痛みを緩和することも可能です。
効果は3~6か月とされています。

費用
保険診療なので、手技料、薬剤料の3割負担になります。
局所麻酔を使用した場合は麻酔の薬剤料が加わります。
費用例
- 両腋下 麻酔無し
- 手技料 2,000円(片側)×2
- ボトックス注(50単位 片側)31,531円×2
- 再診料 750円
計 20,343円
軽症、中等症の腋窩多汗症には保険適応がありません。
ご希望の方は、自費診療でのボトックス治療になります。
費用は問い合わせください。