些細事備忘録コラム②~痛みについて~
痛みがあると血管が収縮して、筋肉が緊張します。
その結果、血液の流れが悪くなり、痛みを引き起こす物質が生じます。
これを「痛みの悪循環」と呼びます。
「痛みの悪循環」が続くと痛みは異常を知らせる“有益な存在”から“不必要な存在”になります。
さらに痛みが続くと、“有害な存在”になります。
痛みは、体に起こっている異常を知らせるシグナルであるため、脳は、その痛みを忘れないように記憶するようになります。
痛みの信号は、症状が長引くほど脳に記憶されてしまいます。
痛みは慢性化するほど、心理的、社会的な要因が強く絡まってくるようになります。
痛みが続いて、不安だとか、恐怖だとかを感じて、痛くないように動かさないようにしていると、
当然、筋肉も使わないので萎縮し、関節が固まってくる関節拘縮(かんせつこうしゅく)、
骨が吸収されてやせ細る骨萎縮(こついしゅく)が起きることがあります。
結果として全体の機能が落ちてきて、別の部位に新たにひどい痛みが出てくることもあります。
当然、痛みのため眠れなくなることも起きてきますし、抑うつ的になって、薬や医師に依存したりすることもあります。
いったん悪循環が始まってしまうと、断ち切ることが難しくなってしまいます。
痛みにおける中枢性感作(central sensitization: CS)とは、
「中枢神経系(脳と脊髄)において、痛覚過敏を誘発する神経信号の拡大」と定義される痛みを増幅させるメカニズムです。
かんたんにいうと、痛みをくり返し感じていると、実際の痛みよりもより強く感じるようになる、という現象です。
このメカニズムが、急性疼痛→慢性疼痛(3か月以上痛みが続く場合慢性疼痛といい、慢性片頭痛や緊張型頭痛、線維筋痛症などがあります)への移行に重要な役割を果たしており、
疼痛治療においては理解しておかないといけない概念です。
中枢性感作をおこしやすい生活習慣もわかっており、
①運動習慣のない人、②頻繁に人に会って話をする機会が少ない人、
などが中枢性感作を起こしやすいようです。
中枢性感作は脳・脊髄の中枢神経系における神経信号伝達の変化
( ① 痛みの信号の増幅、② 痛みを抑える機構=下行性疼痛抑制系、の働きが弱まる )
によって起こります。
そのため、慢性疼痛ではロキソニンなど通常使用される消炎鎮痛薬のみでは効果が乏しいことが多く、逆に中枢性感作の出現を助長する可能性があります。
したがって慢性疼痛の治療では、通常使用される消炎鎮痛薬+それ以外の薬剤(例えば、CGRP製剤、神経障害性疼痛治療薬や抗不安薬、抗うつ薬など)や運動療法、心理療法、などが必要になってくることが多いです。
ですから、痛みは軽い痛みのうちに治療することが肝要となります。
痛み止めを安易に使いすぎると効果が無くなり、痛みに効かなくなる、と言われ、我慢していた日本人のなんと多い事でしょう。
今こそ問いたい、なぜ痛くなる前に痛み止めを使わないかと。
痛みが軽いうちの方が使う痛み止めの量も少なくてすみ、長く効きます。
生理痛は我慢しないで、積極的に痛み止めを使用してください。
次回予告 子宮内膜症について